万葉集 〜時を越えて〜

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初句索引
うつせみの 常のことばと 思へども
継ぎてし聞けば 心惑(まと)ひぬ
ありふれたオトコの、ありふれた口説き文句。
でも、ず〜っと聞いてると、ついクラっと来ちゃうのよね。
 う〜む、なんというか……。そーゆーコトもあるんでしょうね。
 さて、ちょっとだけ解説を。最初に出てくる『うつせみ』ですが、これは『現(うつ)し臣(おみ)』という『この世に人間の姿をして現れたもの』を意味する言葉が『うつそみ』と言われるようになり、やがて『うつせみ』と転じて行った言葉です。意味的には元の言葉をそのまま引き継いで『この世に生きている人』を表したり、そこから転じて『現世』とか『この世』とか言われるものを表したりします。また、万葉仮名で『虚蝉』とか『空蝉』などと書かれたことから、やがて『セミのぬけがら』なんてものまで表すようになり、ついにはセミそのものを表すようにもなって行きます。話は逸れましたが、ここでは『この世の人』という意味で用いられています。続く『常のことば』ですが、これは『並の言葉』ってコトで、よーするに『ありふれた言葉』ってコトです。ですので、こんな風に訳してみました。
 別になんとも思っていない人でも、やっぱり『好きだ』と言われれば悪い気はしませんよね? そりゃ相手のコトが嫌いならハナシは別ですが。この歌はそーゆー気持ちを詠んだワケですね。
 でも、世の男性諸君、気を付けてください。どんなに好きでも、あまりつきまとって『好きだ好きだ』と言い続ければ、今の御時世『ストーカー』なんて言われちゃいます。何事も程々に。