万葉集 〜時を越えて〜

BACK HOME
初句索引
ま薦(こも)刈る 大野川原の 水隠(みごも)りに
(こ)ひ来(こ)し妹(いも)が 紐解く我(わ)れは
ずっと心の奥底で想い続けてきた
そんな君の背中のホックを、僕は今、外そうとしている。
 おぉ、大人の歌だぁ……
 というワケで、ちょっとばかり解説を。最初の二句は第三句の『水隠り』を起こす序詞(じょことば)です。……ってゆーか、序詞ってコトバ自体、聞き慣れませんよね。え〜っとですね、意味合いから連想させて続く言葉を導く語群のコトです。枕詞と似てますが、違うモノです。
 枕詞の場合、どの枕詞がどの語を起こすのかっていうのが決まってるんです。例えば『あしひきの』と来れば『山』とか、『茜さす』と来れば『紫』や『日』、なんていう風に決まっちゃってるものなんです。で、多くの場合は五音でできてます。ところが、序詞の場合はそう言った決まりは特にありません。何が何を起こすのかっていうのはもうその場のノリですし、音数だって決まってません。続く言葉を連想させるという点が重要です。ココが枕詞と序詞の大きな違いと言えるでしょう。枕詞は歌の意味に特に影響することはなく、どちらかと言えば歌に調子を付けるようなものだと思ってもらっても良いのですが、序詞の場合、歌全体の意味に直接関係があるワケではないけれど、その歌のキーワードとなる言葉を連想させる言葉を用いて歌の世界を広げる働きをすると言うか……
 むぅ、思いがけず序詞の解説が長くなってしまった(汗) とにかく、川が増水して川原が水に隠れてしまうことと、自分がずっと心に想いを秘めていたことをかけて詠まれた歌なんです、ハイ。で、別の歌のコメントでも書いたように『紐解く』ってのは要するに『下着の紐を解く』ってコトですので、こんな風に訳してみました。